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アゲハのこと

最近、妙にアゲハのことを思い出す。

アゲハは、1年半くらい前、夫と私二人で飼っていた黄色のオカメインコだ。
閉店間際のペットセンターで小さく丸まっていたアゲハを見て一目惚れしたのだ。
まだ生まれて一ヶ月足らずの、ヒナだった。
名前は、すごく大好きな斉藤和義の曲の題名をそのままとってつけた。
当時一人暮らしだった私の部屋は寒かったので、エアコンをつけっぱなしで仕事にでかけ、昼休みにはご飯を食べさせに戻っていたものだ。
かわいかった。とても。
でも、なぜかいつも眠っていて、食も細かった。
甘えん坊で、かごにいれておくと出してくれと泣いた。私の胸まで上がってきて、いつまでもすやすやと眠っていた。

アゲハは、病気だったのだ。
やっぱり変だなと思い、獣医さんに見てもらって判明した。
寄生虫だろうとのこと。ペットショップで感染してたんだろうと言われた。
薬を飲ませても、難しいと言われた。

つれて帰って、薬を飲ませたけれど、すぐに吐く。
ご飯も食べてくれない。
時間がたつごとに、みるみる弱っていく。

あの日は、みぞれみたいな雪が降っていた。
病院につれていった次の日、アゲハは起き上がるのもやっとになっていた。
病院に電話をかけると、小鳥なので点滴を打つ訳にもいかない、なので、蜂蜜をまぜた水を飲ませなさいと言われた。
でも、それすらも飲み込めない。
不安で、かわいそうで、涙ばかりがこぼれた。
しかし、ふらふらなのに、アゲハはいつものように私に抱っこしてほしいと弱々しくせがむ。
小さな小さな体で、懸命に生きていた。

夜になって、夫が仕事をはやく切り上げ、アパートに顔を見にくると連絡があった。
私はあいかわらず眠り続けるアゲハをだっこして、夫がくるのを待っていた。
夫が来て、玄関の鍵をあける、がちゃりという音が聞こえたとき。

アゲハは、ぱっと目を開け、玄関の方にふらふらと体を向けた。
そして、わずかに羽を広げる。
それで、わかった。
私が帰ってきたときも、アゲハは、いつもそうやって迎えてくれていたんだ。
いつも、待っていてくれたんだ。
そして、小さいながらも、私の愛情を分かっていてくれたんだ。
どんなにつらかっただろう。
苦しかっただろう。
それなのにこんなにも懸命に、こんなにも痛々しく、私を受け入れてくれていた。
何もできない自分がはがゆかった。

夫が帰ったあと、アゲハはとうとう立てなくなって、体を横倒しにしていた。
そして、朝になって、アゲハは死んだ。
まだ、雪が降っていた。
冷たくなった小さなアゲハ。
もう、抱っこをせがんでもくれない。
帰りを喜んでもくれない。
涙ばかりが後から後から流れた。
もっと、何かをしてやれなかったのか。
それとも、最初から出会わなければ、こんな悲しい思いをしなくてすんだのか。
こんな思いをするためだけに、私たちは出会ったのか。

夜になって、私はアゲハを寝かせた小さな棺を持って、夫の部屋へ向かった。
「かわいがってもらって、幸せだったんだよ。俺たちに飼われなければ、この子はあのペットショップで誰にもかわいがられずに死ぬところだった。」
夫が言ってくれた。

棺には、甘えん坊のアゲハが一人でも淋しくないようにと、ひよこのぬいぐるみを入れた。
そして、私がいつも身に付けていた、黒いバラのコサージュを隣に置いた。
「また迷うことなく、ママのところに来るんだよ」と、願いを込めて。
「今度は丈夫にね、そして、ママの子どもとして生まれておいでね。」

初夏にはアヤメがきれいに咲き誇る公園が一望できる丘の、大きな木のしたに棺を二人で埋めた。
二人で、声を上げて泣いた。
寒くて、ただ星が綺麗だった。
去年2月のこと。

そして、2ヶ月後、私の妊娠が発覚した。

12月の寒い日、生まれてきたのはほかでもない、ユイマル。
妊娠中はあまり考えなかったが、生まれてきたユイマルとアゲハは似通っている点が多いことに気がついた。
まず、両方女の子。
甘えん坊、小さい、逆立ったトサカ。
そして、酉年。

「ばかばかしいかもしれないけど、間違いないよね。」
夫と、信じられないような、それでいてとても幸せな気持ちで今でも言い合う。
最近では、アゲハは本当の子として生まれ変わるがために、試練を乗り越えたんだと思うようにもなってきた。
他人には偶然だ、と笑われてしまうことかもしれないけれど、私たちはそれを信じている。
そして、切っても切れない強い絆でむすばれていることを、忘れないようにしようと思う。

こないだ、満開のアヤメ園に、3人で行ってきた。
とてもきれいで、楽しい時間だった。








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